数年前、私は保育士をしていました。その時に担任を持ったクラスは0歳~4歳までとその年度によって違ったのですが、正直大きい年齢のクラスになればなるほど、クラス運営をするのが苦手だなと感じていました。
子どもをまとめるのが苦手だった私。ある日、先輩保育士さんに「もっと怒っていいんだよ~!」と言われ、「あれ、私って怒らないからいけないのか…?」と思いこみ、些細なことでも叱る保育士になってしまったんです…。
怒ってばかりの先生。子どもがなつくと思います?それでクラス運営が上手くいくと思います?
…失敗ばかりの毎日で、本当に参った時期がありました。
でも、別の超ベテラン先輩保育士さんに教えて貰ったことと、とある本との出会いが私を変えてくれたんです。
その体験が、保育士を辞めて子育てに専念してる今でも役立ってる。
「叱らない育児って、こういうことだよね!」
かつての私のようにクラス運営に悩んでいる保育士さんはもちろん、子育てに悩んでいるママさんにもそのことについてお伝えしたいと思います。
- そもそも子どもが「ソレ」をできるのか?
- 「ちゃんと」って何?
- 「おいでー」と言われて子どもは保育士の所に来たくなるのか
- 言葉がけに気を付けることで叱る回数がぐんと減ってクラス運営がスムーズに
- 保育運営で参考になった本が子育てでも役立っている!
- 叱らない育児…でも肝心な時は叱る!
- 叱らない育児は難しい!でも子どもの成長につながる
そもそも子どもが「ソレ」をできるのか?
例えばお片づけの時間だったとします。「片付けしてね」と声掛けをしても、子どもが全然お片づけをしてくれない。
そんな時、大人は「早く片付けなさいって言ってるでしょう!」と叱りますよね。でも、そのお子さんが「お片づけをする」ことが習慣づいている子なのでしょうか…?
もしかしたら「お片づけってどうするの?」と、やり方を知らないのかも。大きいお子さんほどまさか…と思うかもしれませんが、教えられていない事って意外と身についてないことも多くあります。
保育園であれば他のお友達の様子を見て自然と身につくかもしれませんが、身につくまでに待ちきれずに叱られてしまったら…子どものやる気は失せてしまうし、お片づけがやりたくないものになってしまいますよね。
お片づけのやり方を知らない子には、お片づけのやり方を教えてあげる必要があります。
「このおもちゃをカゴに入れてきてね」とおもちゃを手に持たせてカゴの所まで一緒に連れて行く。何歳のお子さんであれ、まずはやり方を1から教え、出来たら「ありがとう」「お片づけできたねー!」と褒める。お片づけの習慣を身に着けるように考慮してみました。
これは一例で、他にも「着替えが遅い子はそもそもやり方が身についていないのでは?」「ご飯が遅い子は咀嚼を促してあげないと食べられない?」と、その子がどこまできるのか考え、怒るのをやめて補助をしてみることにしました。
子どもは吸収も早いので、できなかったこと、躓いていたことができるようになって自信がついてくると、今度は言葉がけでもやってくれるようになってきます。
「ちゃんと」って何?
子どもに怒ってしまう時の大人の言葉に「ちゃんとしなさい!」なんて言葉がありますよね。
子どもは「ちゃんと」って言う言葉を理解できていません。ちゃんとするって意味は分かっていても、具体的に「ちゃんとってどうすればちゃんとするということ」なのかが分かってないんです。
だから、いくら叱られても「ちゃんと」することはできません。その場では怒られたからごめんなさいをしておとなしくなるだけ。
「なんでそんなことするの!?」←なんでって何が?そんなことって?
「いつもダメって言ってるよね?」←いつもっていつ?
「そんなことしたらダメでしょ!」←そんなことって何?
子どもに注意をする時はあいまいな言葉では伝わりません。
「ちゃんとしなさい!」は「ここはお行儀よく座る時だよ」と、具体的に何をすればいいのか教えてあげた方が、子どもも理解しやすく、さらに保育士やママとしても怒って話をする必要がなくなります。
そうやって教えていくうちに自然と、「今はこの時間だから静かにしなくちゃ」と子どもも習慣として身に着けていくことができます。
「おいでー」と言われて子どもは保育士の所に来たくなるのか
例えば園庭遊びをして終了の時間が来た時。
(園内に戻るから)「おいでー!」と保育士が呼んでも、まだ遊びたい子ども達は集まってくれるわけがないですよね。遊びたい気持が先だって、逃げ回ってしまう始末。
そこで私は「早くして―!」とまた怒っていたわけです…。
どうして保育士の元に集まる必要があるのか、具体的に話すようにします。「もうすぐ給食の時間だよ。今日はカレーライスだよー!そろそろ戻らないと覚めちゃうから、先生の所に集まってね。」
こんな感じで伝えられると、子どもも「集まらなきゃ」と必要性を感じますよね。さらに、この後に行うべき行動もちゃんと伝えておけるとベスト。
「手が汚いと給食にバイキン入っちゃうから、中に入ったら最初に手洗いしておこうか!うがいも忘れずにね」
なんて感じです。
言葉がけに気を付けることで叱る回数がぐんと減ってクラス運営がスムーズに
超ベテラン保育士さんのアドバイス通り、自分が子ども達にかける言葉をすこし気を付けただけで、こうも子ども達の行動が変わるのか!と思う位クラス運営がスムーズになりました。
叱らなくていいのに子ども達は言うことを聞いてくれる。叱らない育児ってこういうことなんだなと、保育士をしていた当時の私にとっては本当に目から鱗でした。
子どもが生まれて自分がお母さんになった現在、いろんな育児書で「この時期の子どもはこんなふうに伸ばしてあげよう」という文章をよく目にしたので、どれもママにとっては当たり前のことかもしれないです。
でもその当たり前って意外と難しいですよね。私は子どもを怒りたくなった時、保育士だった当時のことを何とか思い出して子どもと接するようにしています。
「私怒ってばっかだな」と思った方がいたら、まずは自分がどんな言葉で子どもに伝えていたのか振り返ってみてください。
子どもは言うことを聞かないのではなく、やり方が分からなかったり理解できていないだけだったのかもしれません。
保育運営で参考になった本が子育てでも役立っている!
もう一つ、保育士をしていた私を変えてくれた本があります。
こちらの本、出版は2013年とかなり古いのですが、クラス運営が上手くできなかった私を救ってくれた本です。
クラス運営が上手くいっていない子ども達にはこんなふうに言葉をかけてあげたら分かりやすいよというノウハウが、漫画で読みやすく掲載されています。子どもの目線もよく分かります。
たぶん、保育士としてはできて当たり前のことばかり。でも、その当たり前って教えてくれる先輩保育士がいないと気が付けないかもしれない。(運よく私は巡り合えたわけですが)
保育の本なので全くママ向けではないのですが、子育てをしている今でもこの本に書かれていることが私の役に立ってるなって思っています。
ちなみに、同じ著者の方のママ向けの本も。
実は私は保育の方しか読んでいないのですが、この方の言葉がけが本当に役立っているので、子育て本の方も気になっています。
叱らない育児…でも肝心な時は叱る!
言葉がけのおかげか、子どもに叱る回数がグンと減った私ですが、肝心な時はしっかり叱っています。それは危ないことと本当にしてはいけない事をした時。
道路に急に飛び出したら命に関わります。お風呂でふざけたら溺れる可能性があります。お箸を人に向けたら目に刺さってしまうかもしれないし、友達を叩いたら痛い思いをさせてしまうので、それも叱ります。
そういう絶対にしてはいけないことをした時は、強く叱ることがあります。でも叱る時はなぜやってはいけないのか理由を添えて、もう絶対やらないように約束をします。
あと、4歳の長女なんかはおふざけをしすぎてしつこくなってしまった時も、最近は叱られるようになってきましたが…(笑)
とにかく叱る前に、「これは今怒ることなのかどうか」という基準みたいなのを決めておきます。お片づけなんてしなくても命にかかわることはないし、ご飯だって食べなくてもお腹は空くけど今すぐどうこういうことはない。
何回か言葉をかけて、それでもダメなら叱ることはありますが、最初から叱る必要はあるのかどうか考えるようにしています。
叱らない育児は難しい!でも子どもの成長につながる
叱らない育児って、子どものやりたいことを優先させてのびのび見守るイメージ。それ故に叱らない親ってどうなの?なんて思われることもありますが、やっぱりやったらいけない事をしている時は叱ることも大事だと思うんです。
でも、むやみやたらに叱る必要はない。ここは叱らなきゃいけない場面かな…と一旦一呼吸おいて子どもと向き合ってみたら、叱る回数が減ることもあるかと思います。
…なんて偉そうに書きましたが、もともとは私もよく叱る保育士だったので、一旦一呼吸置くなんて難しい!超ベテラン先輩保育士のアドバイスがあったからできたよなぁ~と今振り返ると思います。それに、未だに感情に任せて怒鳴っちゃうこともあります。
とっても難しい叱らない育児ですが、実践してみると保育園の子ども達が凄く伸びたなっていうのも何度も感じました。
もし叱り過ぎかも…なんていう保育士さんやママさんがいたら、少しずつでもいいので実践してみてくださいね。