うちの次女が、まだ1歳だった夏のことです。右肩にニキビのようなものが出来ていました。小さなポチっとしたもので、真ん中に芯のようなものもある。虫刺されとは違う感じです。
見つけたときは「チョコでも食べ過ぎて、1歳にしてニキビができたの~!?」なんて茶化しちゃうくらい心配も何もせず、そのうち消えるかな~くらいに簡単に思っていたのですが、何ヶ月も消えなかったそれは「石灰化上皮腫」という腫瘍でした。
石灰化上皮腫は通院でだけでは取りきることが出来ず、手術しか治す方法はないのだそうです。しかも、子どもが小さいうちは全身麻酔が必要で、大きな病院でなければ切除ができないと言われました。
お医者さんから説明をされたとき、びっくりする気持ちと、全身麻酔や手術と聞いて不安になる気持ちが私にはありました。
そんななんともないような腫瘍で通院に至る経緯、手術を決心した訳、手術のこと、術後のことから現在について、ブログでまとめて行きたいと思います。
- 石灰化上皮腫ってなに?
- 皮膚科に通院しようと思った経緯
- 皮膚科での見立て
- 総合病院の形成外科を受診
- 大学病院を受診
- 医療保険の準備
- 石灰化上皮腫の入院と手術
- 入院に持って行ったもの
- 石灰化上皮腫のその後
- まとめ
石灰化上皮腫ってなに?
石灰化上皮腫という腫瘍も、初めて聞いたという方もいるかと思います。私も、お医者さんに次女を連れて行った時に初めて知らされたので、呑気に「名前が覚えにくいなぁ」なんて思った記憶があります。
石灰化上皮腫は、皮膚の一部分が、まるで石灰のような感じにごつごつと硬化してしまう皮下にできる腫瘍(できもの)を言います。
石灰化上皮腫の詳しい発生原因は、ほかの多くの皮膚の腫瘍と同様にいまだ解明されていません(2019年2月時点)。
しかし、上述のように、毛母細胞がもととなって腫瘍化することから、何らかの要因によって、本来は毛となるはずの細胞が異常な形で増殖してしまったことが原因ではないかと考えられています。また、原因がはっきりとしていないため、悪化させる因子なども分かっていません。
※MedicalNote様のサイトより、一部抜粋させていただきました。
最初にお話しした通り、うちの次女の場合は見た目がニキビのような感じで、おできの真ん中にポコッと芯があるような状態。この芯の部分が、石灰化している状態なのでしょう。
当時、おできの部分は肌色だったので、よほど気にしなければ通院しようとまでは思わないかもしれません。
皮膚科に通院しようと思った経緯
ニキビのようなおできができて2ヶ月くらいでしょうか。「治らないな?」と気にはなっていて、でも水いぼのように増える様子もないし何だろう…と思いつつ、通院するほどかな?と悩んでいる感じ。仕事もあったので、風邪を引いて病院に行くことがあったら病院で相談してみようかな?くらいに気軽に考えていました。
ある日、そのニキビのようなポッチが赤く炎症を起こして腫れてしまったんです。それがきっかけで仕事を休み、皮膚科へ通院してみました。
皮膚科での見立て
皮膚科の先生に見せるなり、「あー…これは…」と微妙な反応をされ、ちょっと不安になります。余談ですが、かかりつけの皮膚科の先生は大げさに話して、患者さんの不安をあおるのが上手です(笑)
分厚い本を出してもらい、説明が始まります。石灰化上皮腫の疑いがあると説明を受けながら、いつもの大げさな話かな?と思っていたのですが、「これはちょっと厄介になるかもしれませんね」と言われた言葉は、今でもすごく覚えています。
「総合病院の“形成外科”に紹介状を出しますので、都合がいい日に受診してみてください」とのこと。
形成外科?聞きなれない言葉です。どんな治療をするんだろう…話が大きくなってきました。
ちなみに、赤く腫れていたのは石灰化上皮種の幹部に菌が入って炎症を起こしているとのこと。塗り薬と飲み薬を飲んでしばらくすると赤みは落ち着きましたが、皮膚と同じ色だった腫瘍は少しだけ青っぽくなっていました。
総合病院の形成外科を受診
大きな病院は苦手でした。手続きが多くて待ち時間が長い。初診だと本当に時間がかかって、術後で経過を観察している今でも2~3時間待ちが当たり前です。
小児科のようにキッズスペースもなく、お腹が空いた!お家に帰りたい!という次女におやつを食べさせ、ひたすら「静かに待とうね」「座ろうね」「よその人の迷惑になるから~」となだめる私も、かなりしんどい思いをしました。
最近は総合病院で経過を見てもらう時には、イヤホンを持ち歩いてスマホでYoutubeに頼ってます。便利な世の中。
2歳児だと普通のイヤホンは耳に入りません。小さめのをもっておくと便利です。
私も初めての形成外科。
患部を触診し、やはり石灰化上皮腫の疑いか、粉瘤の疑いもあるけれど、粉瘤だと2歳児では考えにくいということ。(石灰化上皮腫の診断は、手術で腫瘍を取り除いて治験に出さないと分からないらしい)
石灰化上皮腫は、手術で切開して取り除くしか治療法がない腫瘍です。治さないと大きくなる可能性があるし、今回のように細菌が入って炎症をおこすこともあるそうです。
ここで、今後の治療方針の相談になります。
手術で腫瘍をとる
2歳児が手術をするとなると、全身麻酔で安全に取り除かなければなりませんが、幼児なのでさらに遠くの大学病院で手術を受けることに。2泊3日の入院になります。
成長するまで様子見
10歳を過ぎるころになると、部分麻酔で日帰り手術が可能に。通院して様子を見て、部分麻酔ができるまで成長を待つこともできる。
とのこと。
ただし、様子を見ている間に今回のように細菌が入り込んでも厄介だし、仮に腫瘍が大きくなってしまったら、傷も大きくなるかも…
それに、他にも小学生くらいの子が形成外科に診察に来ていて、お母さんとの話が待合室で聞こえてきたのですが「手術」「部分麻酔」の会話が聞こえてきていて…
その子、すっごい怖がってたんですよね。
あー…大きくなって物事がわかるようになっても、やっぱり手術で切開って怖いよなぁ…
と思ったので、変な話ですがまだ小さくて物事がわからないうちに頑張って取ってしまおうと思い、次女の手術を受ける決心をしました。
大学病院を受診
大学病院への予約をしてもらい、紹介状を手に行ってきました。私も初めてです。予想はしていましたが、すごい人。駐車場に入るのも並ばないといけないため、朝も早く出発です。長女は保育園に事情を話し、この日は預かってもらいました。
予約していたはずなのですが、診察は一番最後。朝早くできた分、また待ち時間が長くなってしまう。
小さい子供の病院は大人が2人ついていた方がいいですね。トイレや売店、オムツ替えにも行けず、大変でした。
1回目の診察では、腫瘍の様子を見てもらい、医療用カメラで写真を撮っていました。入院までの流れや時期の相談をして終了。次回の診察は、病院のベッドに空きが出てた時、手術前の検査になるらしい。
個室の希望があるか聞かれました。次女は夜泣きもするし、個室の方がいいかな?と思いましたが、個室は別途料金がかかるし、子どもでも大部屋で過ごす人は多いとのことで、大部屋を選択。
(入院したときに見ましたが、個室でも扉は開いたままカーテンで仕切られてるだけだったので、声の問題やプライバシーを守りたいという理由では、個室も大部屋も変わりなかったかも。個室だと空きができるまで手術までの期間が長引いた可能性もあります。)
予防接種は1ヶ月前までに済ませてくださいとのこと。インフルエンザを受けたかったので、慌てて予約しました。
手術の日程が決まったら病院から連絡があるとのことですが、1ヶ月以上たって、忘れたころに突然電話が鳴ったのでびっくりしました。
2回目の大学病院は手術の日程が決まって、その一週間前。年が明けて、次女は2歳になっていました。
血液検査、尿検査、レントゲン、心電図、入院説明や入院セットの申し込み…形成外科で行うのではなく、病院中を回ってその科に行かなければいけなかったので、これも時間がかかり大変。
丁度お昼時で次女は眠気と空腹と…歩き回って疲れてるし、検査のたびに不安そうだし、親もしんどかったです。
もう何度ね、こんなポッチの腫瘍のために一大事になってんだー!!!と切れたくなことか。
ちなみに手術はインフルエンザはもちろん風邪を引いていても受けられないそうで、体調管理にはかなり気をつかいました。
インフルエンザが保育園で流行し、その1週間は子供たちを休ませたりもしました。
医療保険の準備
学資保険に加入した際、一緒に医療保険にも加入していました。入院手術ということで、医療保険が下りてきますが、その手続きは事前に行って、診断書を請求しておく必要があります。
入院の日程が決まったらすぐにでもしておいた方がいいですね。1週間くらいかかるとのことでしたが、ウチが加入しているところではネットからの請求で3日ほどで到着。仕事が早くて助かります。
これは入院時、病院に提出して主治医の先生に診断書を書いてもらいます。
費用は5000円かかりました。
石灰化上皮腫の入院と手術
2泊3日の入院手術の日程は以下の通り
1日目 入院
2日目 手術
3日目 経過が良ければ午前中に退院
1日目~入院~
11時までに受付をし、必要書類を提出。入院セットの申し込みをしてから形成外科病棟にて入院。
ちなみに1日目は私服でもOK。
検査をするとは聞いていたけど、休む間もないくらい呼ばれました。
看護婦さんからの説明、手術を担当してくれる先生の診察、麻酔科に呼ばれて診察&説明。全身麻酔なのでリスクもあり、同意書などを書きます。
他にも数多くの同意書や書類を書きました。のちに全部コピーくれます
なので、ボールペンと印鑑は必須です。
次女は昼寝もできないまま、あっという間に夜です。病院食は子供の分だけ出ますが、なんせ偏食なので、私も結構食べました。おかずはよくある病院食ですが、米がふっくらでおいしくて、次女は米ばかり食べていました。
大人の食事にはちょっと物足りないので、売店(コンビニ)で買い足して、食事を済ませます。(普段は節約してあまり食べないようなお弁当や菓子パンをいろいろ試せて、ちょっとだけ楽しめました。)
手術前日は必ずお風呂に入るとのことで、付き添いの大人も一緒に入っていいよとのお許し。私もさっぱりしてきました。
1月ですが病院内はとにかく暑い。ニットを着てきた私、大失敗。
夜は一人で入院していた小学生の子が泣いていました。病院によっては親が不可のところもあるみたいだし、仕事してたり兄弟いたら、付き添いも厳しいよね。
うちの長女も一人でおばあちゃんのお家にお泊りしてるはず。かなり不安そうだったけど大丈夫かな…と心配になりました。
この日の次女は21時以降は絶食、朝6時までは水分はとってもいいとのことでした。
2日目~手術~
手術の日。
いつも7時過ぎに起きる次女は、水分も取れなくなる6時ごろもぐっすり眠っていたため、水分は取れず。とはいっても夜中に授乳してるし、大丈夫かな?
朝に、形成の手術担当の先生が様子見に来てくれたり、麻酔科の先生も様子を見に来てくれました。
麻酔に入る前に眠りにつくのですが、その時のガス?のにおいを選べるんだそう。イチゴやレモン、チョコレート…10種類くらいありました。
麻酔は怖いですが、香りの種類を書いていた表がかわいらしくて和みました。
ちなみに、次女が大好きなイチゴを選択。甘ったるそうです。
次女は朝ごはんは食べられませんでしたが、病院内を散歩して元気に過ごしています。これから手術なんて知りもしないので、ご機嫌です。
8時半に手術室に案内。意外と早い。病院スタッフさんも、こんな朝早くから大変です。
肩の腫瘍を取り除くだけなので、全身麻酔とはいえそこまで大掛かりな手術でもないんじゃ……と、直前まで本当にのんきに思っていました。
手術室では医師や看護師が何人もいて、挨拶。
まるでドラマの風景をみているようでした。ここで初めて「わ、本格的な手術だ…」と実感したんです。親なのに、ここでやっと実感が沸くって遅いですよね。
私自身は手術どころか出産以外の入院経験もないため、手術室の雰囲気に完全に飲み込まれ、ドキドキでした。
次女を引き渡し、家族は入院しているベッドで時間を過ごします。
場所見知りをする子でしたが、次女は意外にも泣かなかったそうです。母と同じで圧倒されたのかしら?
手術は1時間ほどと聞いていましたが、麻酔がきちんとかかる時間、麻酔から覚める時間などもあり、11時くらいまでかかりました。
次女が手術室に入ってから2時間半くらいです。
手術が終わった後、手術を担当してくれた先生が、腫瘍を持ってきてくれました。
小さいポッチだと思っていましたが、患部とその周の固くなっていたところを、しっかり取られています。(3針縫われていました。)
これを治験に回し、石灰化上皮腫かどうか調べてくださるそうです。
そろそろ麻酔から覚めるから…と看護師さんが呼びに来てくださり、手術室に向かいます。
すっかり起きて泣いていました。
私が抱っこして車いすに乗って病室に戻りましたが、「お水飲みたい…」とずーっと言ってました。
水分補給…させておけばよかった!!!大失敗。
1時間くらいは麻酔の影響で吐くかもしれないので、水分も取れません。
この時の次女は狂ったように
「水!!!!飲む!!!!!」
「水飲むってばーーーーー!!!!!」
「桃!!!!!!!!(いろはす)あるでしょ!!!!!」冷蔵庫を開けようとする…
あの…点滴してます、寝ててくださいお願いだから。
多分、手術中の心配よりも入院よりも通院よりも、術後のこの1時間がものすごく辛かったです。最終的にYoutubeで気持ちを紛らせるしかありませんでした。
水分補給の許可が出ると、桃のいろはすをゴクゴク喉を鳴らしながら飲んでいました。ペットボトルで半分くらいは…。
しばらくしたら、ゼリーなど、柔らかいものから食べてもいいとのこと。お昼ご飯も食べていないし、お腹空いていないかな?と思ったけど、ゼリー少し食べただけ。
飽きてくると院内を散歩に出かけ、術後とは思えないほど活発に歩き回りました。麻酔で眠ってたせいか、昼寝もしません。
夜には長女がお見舞いに来てくれるとのこと。
部屋にいると賑やかなので、1階の受付辺りをひたすら探検です。夜は人がいないので。
同じ年頃の入院中のお子さんも、受付周辺にいました。流れでママさんと話をしたのですが、外来患者さんがいるところはWi-Fi使えるので、外来終わったら来てたそうです。スマホ2台持ちで、ママ用とお子さん用。
なるほどー。入院が長くなるようならWi-Fiあると助かりますもんね。
3針縫っている傷口は、全く痛がる様子もありません。よかった。
3日目~退院~
朝ごはんを食べ、先生の診察。
傷の様子もいいし、本人も元気すぎるくらい元気なので、退院の許可が出ました。
受付をし、10時にはあっさり退院です。
診断書はできていないので後日郵送してもらうことに。
支払いも、手術があったため、まだ料金計算できないとのこと。請求書を送ってくれることになりました。
病院が遠いので助かります。
入院に持って行ったもの
子どもの入院ということで、事前に何があったほうがいいか調べました。
持って行ってよかったのはペンとお絵描きノート。
ひたすら絵をかいていました。私はもっていかなかったのですが、入院中のお姉ちゃんに折り紙をもらって、たいそう気に入っていました。
おもちゃは2泊3日くらいでしたら、逆にベッドを占領して邪魔になります。検査が多いし飽きてしまって病室にあまりいなかったので(腫瘍以外は元気だし)遊ぶ暇もなかったです。
テレビといっても、朝と夕方のEテレくらいしか楽しみがない。やっぱりYoutubeが大活躍でした。イヤホン付けて見せてましたが、大人用だと2歳児の耳には大きすぎる。ちゃんと小さいの用意しておけばよかったー!!
Youtubeもスマホで見てると目に負担がかかりそうですよね。
タブッレットくらいの大きさか、ポータブルDVDでもあればよかったのかも。
タオルやティッシュ、日用品はパジャマと一緒に借りられる病院のレンタルサービスがあったので、用意はいらず。用意したのは子供用の歯ブラシと紙オムツくらいかな。荷物が少ないし洗いたてのタオルが使えるし、かなり快適でした。
オムツはさすがに持ち帰りではなく、病院内に捨ててもいいよと許可がありました。病院によって違うかもしれないので、確認しておくといいかも。
石灰化上皮腫のその後
退院から一週間後に抜糸、1ヶ月後と2ヶ月後に経過観察…というのが、現在の通院状況です。
傷口は、手術の後に傷が広がらないようにするテープを貼っていましたが、かぶれがひどく、現在は中止。
すっかりふさがっていますが、意外と大きな傷が残りました。小さいポッチでしたが、患部の細胞をしっかり取ってくださったので、再発はないと思います。
成長とともに目立たなくなればいいのですが…。
まとめ
私の気持ちもまとめておこうと思って書いてみましたが、結構な長文になってしまいました。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
見る人が見たら、身バレしそうな内容ですね(笑)
なお、私は医療関係者ではないため、石灰化上皮腫についてや治療に関して認識の違いがあるかもしれません。
感じたまま、思ったままに記しました。
最初は大したことない良性の腫瘍…と思っていましたが、治療のための通院、全身麻酔での手術、経過の観察での通院は、結構大変な思いをしました。
すべての腫瘍がそうとは限りませんが、子どもの体の異変はやっぱり通院してみないとわからないものだな、と感じています。
今回、私はたまたま患部が炎症をおこしてしまったので通院という運びになりましたが、気にせず過ごす方もいるかもしれませんし。
この体験が、同じようにお子さん、もしくはご本人さんの石灰化上皮腫の治療の参考になったらと思っています。